本気の恋の始め方

「二軒目行くわよー」



張り切ってる鮎子さんに次の店に行こうと誘われて。どう答えようと迷っていたら

「俺は二人になりたいんですけど」

五所野緒君が鮎子さんのウエストを後ろから引き寄せて、妖艶に微笑んだ。



その微笑みは、どこか私たちに向けたような、そんな雰囲気がある。


もしかして、早く帰りたそうな私に気をつかってくれたんだろうか。


ふと、鮎子さんを見つめると、また卒倒寸前って感じで顔を赤くしている。



ウエストに回った五所野緒君の腕を、叩いたり抵抗したりしてはいたけれど、耳元でぼそぼそと何かをささやかれて、急にゼンマイが切れたおもちゃみたいに、大人しくなった。



なにを言ったの、五所野緒君……。


すっごく気になるわ。



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