本気の恋の始め方
「たまたま会社で会って、声を掛けてもらったの。るうくん、芙蓉堂の社員になってたよ」
「えー。今度うちに寄るように言ってくれよ。お父さんも会いたいよ」
「お母さんだって会いたいわよ。潤は一緒じゃなくてもいいわよ。関西に来たらうちに寄るように言ってね」
「はいはい……」
私抜きでもるうくんに会いたいなんて。
せっかく帰ってきたのにさ。
複雑な気持ちになりながらも、うなずく。
両親の気持ちもわからないでもないし……。
「そうだね。メールしてみる」
テーブルの上に置いていた携帯で、るうくんにメールを打った。
To:町田塁
今、大阪の両親のところに帰ってます。
両親に話したら、かなりるうくんに会いたいってうるさいの。
いつか大阪に寄るようなことがあったら、ぜひ連絡してやってください。
そして最後に、アドレス帳から自宅の番号を張り付ける。
「送信、っと……」
るうくんへの長い片思いはきれいに終われたから、メールを送ることもなんのためらいもなかった。
そしてそれは、千早のおかげ。
逃げ回っていた恋に決着をつけることができたのは、彼のおかげなんだ……。