本気の恋の始め方

「たまたま会社で会って、声を掛けてもらったの。るうくん、芙蓉堂の社員になってたよ」

「えー。今度うちに寄るように言ってくれよ。お父さんも会いたいよ」

「お母さんだって会いたいわよ。潤は一緒じゃなくてもいいわよ。関西に来たらうちに寄るように言ってね」

「はいはい……」




私抜きでもるうくんに会いたいなんて。


せっかく帰ってきたのにさ。



複雑な気持ちになりながらも、うなずく。


両親の気持ちもわからないでもないし……。



「そうだね。メールしてみる」



テーブルの上に置いていた携帯で、るうくんにメールを打った。




To:町田塁

今、大阪の両親のところに帰ってます。

両親に話したら、かなりるうくんに会いたいってうるさいの。
いつか大阪に寄るようなことがあったら、ぜひ連絡してやってください。



そして最後に、アドレス帳から自宅の番号を張り付ける。



「送信、っと……」



るうくんへの長い片思いはきれいに終われたから、メールを送ることもなんのためらいもなかった。


そしてそれは、千早のおかげ。

逃げ回っていた恋に決着をつけることができたのは、彼のおかげなんだ……。






< 291 / 446 >

この作品をシェア

pagetop