本気の恋の始め方
なんで繭ちゃんがここにいるの?
わけがわからなくて、心臓がばくばくし始める。
凍り付く私をよそに、千早の腕にしがみついた繭ちゃんは
「おなかすいちゃった。早く行こう?」
と微笑む。
「ね、橋本さん」
千早が彼女の腕を手で外しながら、先に行こうとする彼女と向かい合う。
オフモードの千早は、清潔な感じのポロシャツにデニムという、いつもの学生っぽい格好。
そして繭ちゃんはミニスカートに甘い色のツインカーデをあわせていて。
二人が並んで立っているのを見ると、とてもお似合いで――
いつもより少し可愛い格好をした自分がすごく浮いているような気がして、息が出来なくなる。
「繭って呼んで。一晩一緒に過ごした仲でしょ」
「あのね……やっぱりメシはやめとくよ」
「ええ~!」
「ごめんね。正直寝不足だし」
「ふふっ。そうだよね。繭のせいで眠れなかったよね。ごめんなさい」
「気にしないで。じゃ、気をつけて帰ってね」