本気の恋の始め方
何事もなかったかのように、私と会う……
私を抱いて、キスするの……?
それとももしかしたら、繭ちゃんとつきあうから、私とは別れ話をしようって考えてる?
クラクラする……。
倒れまいと足に力を入れたけれど、携帯が私の手から滑り落ち、カシャン、と音を立てて床の上に落ちる。
バッテリーパックが外れてバイブレーションも止まる。
電源が切れたんだ……。
子供じみてると思ったけど、とりあえず悩まなくてすんだことにホッとした。
床に落ちた携帯を拾って、バッテリーをいれようとしたけれど、結局それを外したままバッグの中に滑り込ませていた。
そのまま改札へと向かい、大阪へ向かう電車に飛び乗った。
休日の電車は込んでいて、誰も私のことなんか気にしてない。
乗降ドア近くの連結部分の隅っこに体を押しつけるように立って、こぼれ落ちそうになる涙を落とさないよう、窓の外を眺めて視線を動かさなかった。