本気の恋の始め方
するとるうくんは、ふっと私から視線を逸らし何事もなかったかのようにクローゼットを開ける。
「これ着ていいんだっけ?」
「――うん」
結局るうくんがなにを言いかけたのかうやむやなまま……
私は自分の部屋に戻り、あれから一度も触れていない、放り出したバッグを手に取っていた。
携帯のバッテリーは外れたままで、電源は落ちている。
バッテリーをはめ込んで深呼吸。
おそるおそる、電源を入れた。
ドキン……
ドキン……
たった数秒が何倍も長く感じる。
心臓が存在を主張し始める。