本気の恋の始め方
「こんばんは」
震える脚に力を入れ彼女を見つめる。
「お姉さんじゃなくて、お兄さん、だったんですね」
「――そうよ」
私が最初、お姉さんですかって聞いたとき彼女は首を振って否定した。
だからいよいよ、私は千早を疑ってしまった。
最終的にこうなってしまったのは100パーセント自分のせいだけど。ちょっとくらいイヤミを言ったって、罰は当たらないと思う……。
「結構言うのね」
彼……いや、どう見たって彼女なんだけど。
「中に入って」
千早と半分血が繋がったお兄さんのコウ……サチさんは、軽くため息をつき、私を玄関のなかに招き入れてくれた。
「おじゃまします」
マンションの住人の部屋に入るのはこれが初めてだった。
同じ間取りなのに置いてあるものが違うから、まるで夢の中にいるような、なんだか不思議な感じがした。