本気の恋の始め方
「あたし、あんたみたいな隙だらけのくせに他人に厳しい女、きらいなんだけど」
「――はい」
ぐっさり傷ついたけれど、その通りだ。
体の前で手を強く握る。
サチさんはソファーに膝を抱えるようにして座り、窓の外に視線を向けた。
「千早はね、ころころ太っていた高校生の頃に、そこのコンビニで働いてたあんたに恋をして、生まれ変わりたいって言い出して……」
千早のことを語るサチさんの顔は、とても優しい。
本当に、彼のことを大事に思ってるんだって伝わってくる。
「せっかくカッコよく生まれ変わったあとも、結局自分から声かけられない引っ込み思案で……そこのベランダから、時々あんたの気配を感じて、ドキドキして幸せ気分で……」
「サチさん、私、千早が好きです」
「――」
「男のひととまともにつきあったことがない私に、初めて出来た恋人です」
私の言葉に、彼女が振り返る。