本気の恋の始め方
「――」
って、なに、思い出してるんだ、私。恥ずかしい。
夜でよかった。公園でよかった。
顔、真っ赤になってる自信ある。
「わ、私、帰るから!」
顔を逸らしたままベンチから立ち上がって歩き出すと、
「じゃあ送りますね」
千野君はごく当然と言わんばかりに私の隣に並ぶ。
「え、でも」
千野君の家の方向とは、ぜんぜん違うのに。
「俺、友達ん家用事あるし」
そして私が持っていた空のコーヒーの缶を手に取ると、さっさとゴミ箱に捨てに行ってしまった。
そういえば、友達が私の部屋の下に住んでるんだっけ……。
そんなふうに言われたら、彼を置いてタクシーに乗るってことも出来なくて。
素直に彼が缶を捨てて戻ってくるのを待つしかなかった。