主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※
「ぎんちゃん行ってらっしゃい。ちゃんと戻って来てね」
久々に聞いた若葉の口癖に頬を緩めた銀は、次に朔と若葉が手を繋いでいるのを見て嫌そうな顔をすると、背を向けた。
銀の機嫌の悪さに気付いた若葉は朔の手を離して後ろから尻尾をきゅっと握った。
「助平が。何をする」
「ぎんちゃんが怒ってるから。ちゃんと戻って来てね。あんな広いお家で1人はちょっと怖いよ」
「怖いのか?何が怖いんだ?俺たち妖以上に怖いものなどあるのか?」
「あるよ、物音がしただけで怖いもん。私だって女の子なんだから」
むっとした表情で唇を尖らせた若葉にまた胸から変な音が聞こえた銀は、そのことをなるべく考えないようにするために、主さまと朔の肩を抱いて背を向ける。
「しっかり戸締りをしておけ。なるべく早く帰る」
「うん。朔ちゃん頑張ってね」
「うん」
息吹と一緒に主さまたちを見送った後、いつものように若葉は主さまの屋敷に留まって、息吹と山姫と雪女で屋敷を守りつつ談笑をした。
こんな時間を再び持てることが嬉しかったし、なんだか銀と一緒に居ると、頬が熱くなる気がする。
これは一体何の病気なのかとずっと考えていた若葉は、洗濯物を畳んでいる息吹の隣に座ってその意味を問うた。
「お姉ちゃん、相談があるの」
「うん、どうしたの?何か足りないものでもあった?」
「ううん。あのね、昨日…ぎんちゃんと一緒にお風呂に入ったの」
先ほど銀からそのようなことを聞いていた若葉は、つい手を止めて目を丸くしてしまった。
山姫や雪男も興味のない顔をしながらも、耳は若葉の言葉を聞き逃すまいと息を潜めていたが、若葉は恥ずかしがる風でもなく、すらすらと心情を述べた。
「銀さんとお風呂?うん、それでどうしたの?」
「ぎんちゃんがずっと抱っこしてくれてて…なんかね、心臓の音がうるさかったの。ぎんちゃんと一緒に居れて嬉しくて、ずっとこうしてたいなって思ったの」
「若葉…それは銀さんのお嫁さんになりたいってこと?」
「え?どうしてそうなるの?」
きょとんとした若葉はやはり恋心を自覚していない。
本当は自分でそのことに気付いてほしかったが、このままでは一生気付かないような気がしたので、息吹は若葉の両手を握って深々と聞かせた。
「若葉はね、銀さんのことを男の人として意識してるんだよ。銀さんのお嫁さんになりたいって思ってるの」
「…え…?」
絶句する若葉。
息吹はこれは冗談ではないのだ、とわかってもらうために、若葉をじっと見つめ続けた。
久々に聞いた若葉の口癖に頬を緩めた銀は、次に朔と若葉が手を繋いでいるのを見て嫌そうな顔をすると、背を向けた。
銀の機嫌の悪さに気付いた若葉は朔の手を離して後ろから尻尾をきゅっと握った。
「助平が。何をする」
「ぎんちゃんが怒ってるから。ちゃんと戻って来てね。あんな広いお家で1人はちょっと怖いよ」
「怖いのか?何が怖いんだ?俺たち妖以上に怖いものなどあるのか?」
「あるよ、物音がしただけで怖いもん。私だって女の子なんだから」
むっとした表情で唇を尖らせた若葉にまた胸から変な音が聞こえた銀は、そのことをなるべく考えないようにするために、主さまと朔の肩を抱いて背を向ける。
「しっかり戸締りをしておけ。なるべく早く帰る」
「うん。朔ちゃん頑張ってね」
「うん」
息吹と一緒に主さまたちを見送った後、いつものように若葉は主さまの屋敷に留まって、息吹と山姫と雪女で屋敷を守りつつ談笑をした。
こんな時間を再び持てることが嬉しかったし、なんだか銀と一緒に居ると、頬が熱くなる気がする。
これは一体何の病気なのかとずっと考えていた若葉は、洗濯物を畳んでいる息吹の隣に座ってその意味を問うた。
「お姉ちゃん、相談があるの」
「うん、どうしたの?何か足りないものでもあった?」
「ううん。あのね、昨日…ぎんちゃんと一緒にお風呂に入ったの」
先ほど銀からそのようなことを聞いていた若葉は、つい手を止めて目を丸くしてしまった。
山姫や雪男も興味のない顔をしながらも、耳は若葉の言葉を聞き逃すまいと息を潜めていたが、若葉は恥ずかしがる風でもなく、すらすらと心情を述べた。
「銀さんとお風呂?うん、それでどうしたの?」
「ぎんちゃんがずっと抱っこしてくれてて…なんかね、心臓の音がうるさかったの。ぎんちゃんと一緒に居れて嬉しくて、ずっとこうしてたいなって思ったの」
「若葉…それは銀さんのお嫁さんになりたいってこと?」
「え?どうしてそうなるの?」
きょとんとした若葉はやはり恋心を自覚していない。
本当は自分でそのことに気付いてほしかったが、このままでは一生気付かないような気がしたので、息吹は若葉の両手を握って深々と聞かせた。
「若葉はね、銀さんのことを男の人として意識してるんだよ。銀さんのお嫁さんになりたいって思ってるの」
「…え…?」
絶句する若葉。
息吹はこれは冗談ではないのだ、とわかってもらうために、若葉をじっと見つめ続けた。