主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※
息吹が沈んだ様子は、朔を含め子供たちを動揺させた。
努めて明るく振る舞ってはいるが、いつもの息吹とは明らかに何かが違っているし、何よりも主さまが百鬼夜行に出る時間を遅らせたことが決定打になっていた。
「おい、息吹が銀に泣かされたらしいぞ。今夜の百鬼夜行が遅れているのはそれが原因らしい」
「なに、銀の奴殺されるんじゃないのか?息吹と夫婦になってからは大人しいが、息吹が泣かされたとあれば黙ってはいるまい」
百鬼が口々に息吹を気にするのは、彼らが息吹のことを赤子の頃から知っているからだ。
時には父代り母代りに。
時には遊び相手に。
息吹が童女の頃は主さまはあまり息吹の子育てに関わらなかったので、実質百鬼と息吹が一緒に過ごす時間は多く、よって息吹が意気消沈していると、彼らもまた黙ってはいられない。
銀は大妖なので、やっつけようと思えば徒党を組んでかからなければならないが――それには主さまの許可が要る。
彼らは、主さまがどう出るのかをじっと見つめて待っていた。
「お母様…どうしたんですか?病気なんですか?何か…悩んでるんですか?」
「朔ちゃん…うん…心配かけてごめんね。すぐ元気になるから。大丈夫だから心配しないで」
「でも…」
黙ったまま大広間の囲炉裏の前に座って子供たちの相手をしてやっている主さまをちらりと目の端に捉えた朔は、夜になっても主さまが居るので大喜びしている妹や弟たちとは対照的に表情を曇らせた。
…息吹が落ち込んでいるのは、銀か若葉が必ず関わっているのだ、と感づいていた。
「俺は落ち着いているように見えるかもしれませんが、お母様が悲しんでいる姿を見せられたとあれば、このままにはしません。…銀ですね?」
「違うの朔ちゃん、私がお節介焼きすぎたから…銀さんだって探られたくないよね、私だってそうだと思うし…思いやりが足りなかったの。だから銀さんには何もしないでね」
先手を打たれて口を噤むと、息吹は主さまの隣にそっと腰を下ろした。
小さな妹や弟たちは、息吹の様子がいつもと違うので最初はまごついていつものようにまとわりつくことができずにいたが、息吹が手招きをすると寄ってたかって息吹に群がる。
――朔は、黙ったまま眼光を鈍く光らせて、息吹に気付かれないように気配を殺して屋敷を出た。
誰もが息吹を慕い、愛している。
するべきことは、決まっている。
努めて明るく振る舞ってはいるが、いつもの息吹とは明らかに何かが違っているし、何よりも主さまが百鬼夜行に出る時間を遅らせたことが決定打になっていた。
「おい、息吹が銀に泣かされたらしいぞ。今夜の百鬼夜行が遅れているのはそれが原因らしい」
「なに、銀の奴殺されるんじゃないのか?息吹と夫婦になってからは大人しいが、息吹が泣かされたとあれば黙ってはいるまい」
百鬼が口々に息吹を気にするのは、彼らが息吹のことを赤子の頃から知っているからだ。
時には父代り母代りに。
時には遊び相手に。
息吹が童女の頃は主さまはあまり息吹の子育てに関わらなかったので、実質百鬼と息吹が一緒に過ごす時間は多く、よって息吹が意気消沈していると、彼らもまた黙ってはいられない。
銀は大妖なので、やっつけようと思えば徒党を組んでかからなければならないが――それには主さまの許可が要る。
彼らは、主さまがどう出るのかをじっと見つめて待っていた。
「お母様…どうしたんですか?病気なんですか?何か…悩んでるんですか?」
「朔ちゃん…うん…心配かけてごめんね。すぐ元気になるから。大丈夫だから心配しないで」
「でも…」
黙ったまま大広間の囲炉裏の前に座って子供たちの相手をしてやっている主さまをちらりと目の端に捉えた朔は、夜になっても主さまが居るので大喜びしている妹や弟たちとは対照的に表情を曇らせた。
…息吹が落ち込んでいるのは、銀か若葉が必ず関わっているのだ、と感づいていた。
「俺は落ち着いているように見えるかもしれませんが、お母様が悲しんでいる姿を見せられたとあれば、このままにはしません。…銀ですね?」
「違うの朔ちゃん、私がお節介焼きすぎたから…銀さんだって探られたくないよね、私だってそうだと思うし…思いやりが足りなかったの。だから銀さんには何もしないでね」
先手を打たれて口を噤むと、息吹は主さまの隣にそっと腰を下ろした。
小さな妹や弟たちは、息吹の様子がいつもと違うので最初はまごついていつものようにまとわりつくことができずにいたが、息吹が手招きをすると寄ってたかって息吹に群がる。
――朔は、黙ったまま眼光を鈍く光らせて、息吹に気付かれないように気配を殺して屋敷を出た。
誰もが息吹を慕い、愛している。
するべきことは、決まっている。