主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※
「私はまだ成人したてだが、そなたはどうなのだ?嫁を娶るつもりはないのか?」
晴明が主さまに矛先を向けると、明らかに主さまが嫌そうな顔をして舌打ちをした。
「…俺のことはどうでもいいだろう」
「どうでも良くはないな、そなたには代々引き継がれている役目があるはずだ。子を残さずしてどうする」
「…俺を夢中にさせるようないい女が居ない」
「ふむ、そなたを夢中にさせるようないい女が見つかったらどうする?」
ようやく心が解れ、互いの盃に酒を注ぎながら晴明が問うと、主さまは盃の中でゆらゆら揺れる酒を見つめてぼそりとつぶやいた。
「…何がなんでも手に入れる。俺から逃げることなど絶対に許さない」
「ほう、付きまとい宣言か。そなたに見込まれた女は幸せなのか不幸なのか、わからぬな」
「俺はその辺の女で妥協するつもりはない。…予感があるんだ」
饒舌な主さまは珍しく、晴明は興味津々で主さまの膝にくっつく程に身体を寄せて身を乗り出すと、主さまは潤んだ瞳で一気に酒を呷った。
「予感とは?」
「いつかはわからないが…最高の女に出会う。俺を夢中にさせて、俺に夢中になって、誰もが振り返るような美女が現れる。だから妥協して妻を娶ったりはしない。お前のようにな」
「最高の女、か。私にとっての山姫がそうだと思っていたが…十六夜、顔が赤いぞ」
「!俺の顔を見るな!」
耳を真っ赤にして恥ずかしがり、袖で顔を隠した主さまににやりと笑いかけた晴明は、それでも山姫のことを忘れようとしていた。
「…追いかけるのは性に合わぬ。山姫が茨木童子と幸せになりたいと思っているのならば、それでいい。私はとやかく言える立場ではない」
「必死になって追いかけてでも手に入れたい女ではない、ということだな。お前が妻を娶る予定だということは山姫に伝えておく。果たして半妖のお前に嫁ごうなどという物好きな女は居るのか?」
「ふふふ、これでも私は朝廷でも平安町でも女たちに人気があるのだよ。愛想のないそなたよりもな」
「…だから俺は別に女にもてはやされずとも構わない。最高の女を妻に迎えてのんびり隠居生活をするつもりだからな」
「そんなにうまくいくものかな?きっと私は悪戯をしてそなたとその最高の女とやらの仲を引き裂きにかかるかもしれぬぞ」
「望むところだ。受けて立ってやる」
そしてそれは実現してしまうことになるのだが――この時の主さまは知る由もなかった。
晴明が主さまに矛先を向けると、明らかに主さまが嫌そうな顔をして舌打ちをした。
「…俺のことはどうでもいいだろう」
「どうでも良くはないな、そなたには代々引き継がれている役目があるはずだ。子を残さずしてどうする」
「…俺を夢中にさせるようないい女が居ない」
「ふむ、そなたを夢中にさせるようないい女が見つかったらどうする?」
ようやく心が解れ、互いの盃に酒を注ぎながら晴明が問うと、主さまは盃の中でゆらゆら揺れる酒を見つめてぼそりとつぶやいた。
「…何がなんでも手に入れる。俺から逃げることなど絶対に許さない」
「ほう、付きまとい宣言か。そなたに見込まれた女は幸せなのか不幸なのか、わからぬな」
「俺はその辺の女で妥協するつもりはない。…予感があるんだ」
饒舌な主さまは珍しく、晴明は興味津々で主さまの膝にくっつく程に身体を寄せて身を乗り出すと、主さまは潤んだ瞳で一気に酒を呷った。
「予感とは?」
「いつかはわからないが…最高の女に出会う。俺を夢中にさせて、俺に夢中になって、誰もが振り返るような美女が現れる。だから妥協して妻を娶ったりはしない。お前のようにな」
「最高の女、か。私にとっての山姫がそうだと思っていたが…十六夜、顔が赤いぞ」
「!俺の顔を見るな!」
耳を真っ赤にして恥ずかしがり、袖で顔を隠した主さまににやりと笑いかけた晴明は、それでも山姫のことを忘れようとしていた。
「…追いかけるのは性に合わぬ。山姫が茨木童子と幸せになりたいと思っているのならば、それでいい。私はとやかく言える立場ではない」
「必死になって追いかけてでも手に入れたい女ではない、ということだな。お前が妻を娶る予定だということは山姫に伝えておく。果たして半妖のお前に嫁ごうなどという物好きな女は居るのか?」
「ふふふ、これでも私は朝廷でも平安町でも女たちに人気があるのだよ。愛想のないそなたよりもな」
「…だから俺は別に女にもてはやされずとも構わない。最高の女を妻に迎えてのんびり隠居生活をするつもりだからな」
「そんなにうまくいくものかな?きっと私は悪戯をしてそなたとその最高の女とやらの仲を引き裂きにかかるかもしれぬぞ」
「望むところだ。受けて立ってやる」
そしてそれは実現してしまうことになるのだが――この時の主さまは知る由もなかった。