偏食家のテーブル
カナもちょうど良かった。その部屋は誰かとルームシェアするつもりで借りたモノだったから。しかし、始めはハルカは、仲の良いルームメイトではなかった。ルームメイトのようなメイドだった。二部屋とも足の踏み場がなく、まず片付けからしなければならなかったから。しかし、それが捗らない。片付けては、汚す。キレイにしては、ゴミが増える。その繰り返し。だが、それで二人は心を通わせた。
そして、カナはレポートを日付を跨いだトコロで完成させた。後はコレを週明けに提出すればよいだけだ。ホッとしているトコロでケータイが鳴った。
「終わった?」
ハルカだった。
「うん、今ちょうど。」
憔悴しきったカナはハルカの周りがウルサイ事に気が付いた。
「今、クラブに来てんだ。どう?」
彼女が部屋を「ヤル」と言っていたのに…「どう?」とはいったいどういう意味だ?
「今日、猪野サンが回してワタシ歌うの。ねぇ来てよ」
甘えた声だ。仕方ない。
「わかった、わかった。行くから。」
そして、カナはクラブ用の化粧をして、クラブ用の衣裳に着替えた。
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