偏食家のテーブル
あんなに恐ろしい思いをしたクラブ遊びだったが、まだ続けていた。例のあのクラブは事件以来、潰れたままで、ハルカとカナは二駅越えて、還八を越えたトコロにあるクラブに行っていた。


初めに声を掛けられたのはハルカだった。そのクラブのイベントのオーガナイザーに歌ってくれないか?と言われたらしい。あの事件さえなければ、まだまだ歌い続ける予定だったハルカは二つ返事で了承した。ゼヒにと。そして、カナも誰であろうハルカに音楽の素晴らしさを教わり、そういう場を探していた。また聞きたい、ハルカの歌を。と、事件当初から言っていた。
そのクラブはアンダーグラウンドではあったが、ドラッグに染まっておらず、健全な夜遊び(?)を提供しているらしい。『ファリダット』というクラブだ。
久しぶりに、でもないが、夜用の服に身を包んだ二人。「とりあえず遊びに来てよ」という事だったので、偵察じゃないが、見に行った。
ケータイ番号を控えていたので、オーガナイザーの彼とは連絡がついた。
「今、駅でました。ドコです?」
「あっ!ゴメン。今ふさがっちゃってて…(なっ、コレが…そうそう)〜むかえに行かすからソコにいて!」
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