偏食家のテーブル
ルームメイトのハルカが目覚めるより早く、支度して家を出る。そして、アテなく歩き、疲れたら休む。そんな一時が好きだった。
しかし、その日はそうならなかった。アパートを出て、大通りから一本入った小道を歩いていた時に異変に気付いた。
誰か見てる?
自分の自由が侵略されると感じたカナは歩くスピードを速めた。
しかし、まだ誰か見てる!
そして、カナはその小道の先にあった雑貨屋さんに飛び込んだ。入った事はなかったのだが、まぁまぁオシャレな店だった。その店は入り口は狭かったのだが、中は意外と広く、雑貨だけでなく、オシャレな家具やオシャレな家電まで置いてあった。こんなお店があったなんて…と思っていると
「へぇ〜、イイ店ねぇ」
ハルカが声を掛けた。
「…!」
「教えてくれてもイイのにぃ」
「…!な、なんで!?」
「だって、いつもドコ行ってんのかなぁ〜って」
「寝てると思って…」
「いつもはネ。今日は起きました!最近、時間が合わなかったから、今日は付き合ってもイイ?」
本当は迷惑だったが、「付き合ってもイイ?」のハルカの表情があまりにカワイイので
「うん。いいよ。」
と、精一杯の笑顔で返した。
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