偏食家のテーブル
その店をハルカはとても気にいったらしく、カワイイものを見つけるたびにはしゃぎ、カナにも見せた。カナは出会った頃のハルカから、相当な変化を感じていた。酒が入ると今も昔も変わらないのだが、その無邪気な発言や、奔放な行動は、当時は見られなかった。コレがホントのハルカ。いや、変わったハルカ。穏やかだったハルカが退化した。違う、カナに言わせれば進化だ。カナは自分の理想をハルカに見た。…そんな事を思っていると
「ねぇ!カナぁ!」
呼ぶ声がした。
「何?」
急がず、ゆっくりと近づく。ハルカに自分の気持ちがバレないように。
「コレ、よくない?」
テーブルだった。黒を基調とした、ゴージャスまではいかないが、なかなかしっかりした作りのテーブルだった。ソレには値札がなかった。
「あの〜、すいませ〜ん」
ハルカが店員を呼んだ。女性の店員がレジの作業を中断して、二人の近くに来た。
「コレ、おいくらですか?」
ハルカが彼女に尋ねた。
「あ…コレ…」
そして、カナが気付く。
「ハルカ、コレ売り物じゃないよ。」
「えっ、ウソ?」
店員は困った顔でうなずく。
「ハハハ、ゴメンなさい」カナが笑いながら言う。
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