SoUnD~僕らの世界~
勢い余って階段から落ちそうになりながらも、寝坊した自分を恨み、急いで支度をする。
「母さん!起こしてくれていいだろ!?」
「もう大学生にもなる人が、母親に起こしてもらうようじゃだめよ。」
「遅刻よりましだ!」
「ご飯は?」
「無理!」
朝食はパスして、髪型をセットして、歯磨きして、顔洗って・・・。
「いってきます!!」
「ギターは?」
ちょうど家を出ようとしていたとき、一輝が起きて来た。
「あ!やべっ、忘れるところだった!」
「適当に言ったら当たった。」
「は!?」
「なんでもねぇ。」
意味のわからない事を言いながらリビングに言ってしまった一輝を尻目に、急いで相棒を担いで家を出た。
そういえば、懐かしいな。
こうやって・・・ギター背負って走るのは!!
バス停が見えたとき、そこにはすでにバスが一台止まっていた。
「やべっ・・・っ」
バスにどんどん人が乗り込んで行く。
残り三人。
俺とバスの距離は、残り五十メートル。
最後の一人が乗り込んだとき、十メートル。
「待ってっ!!」
「おぉ、頑張れー!ギリギリだね。」
そして、俺はホントにギリギリ、バスの運転手が優しくて助かった訳だ。