SoUnD~僕らの世界~
肩で息をしながらバスの奥へ向かう。
でも、その途中、誰かに腕を掴まれた。
振り向いた瞬間「え?」と思わず言ってしまった。
「おはよう、ギターくん。」
「あ、え?なんで、ここ?」
「すでにお客さんがいたから。ちょっと前の席になっちゃった。座る?」
もちろん、それを断る理由なんかない。
でも、少しだけ気になったことがある。
「あのさ、なんでギターくん?」
「懐かしくなっちゃって。こうやって、雅が急いでバスに乗ってきたこと思い出して。」
「・・・あぁ。」
そういえば、そうだ。
確かに、あの日も・・・こうだった。
寝坊して、走って、バスに乗せてもらって、未那に会った。
急いで走ってて、気付かなかったんだ・・・。
「ははっ・・・」
「・・・雅?」
未那の隣に座りながら、俺は笑い続けた。
不思議そうに俺の顔を覗き込む未那に、俺はあることを聞いてみる。
「タオル、貸してくんねぇの?」
「あらっ、そうだったっけ。」
「「・・・ははっ」」
あの日があったから、今日があるんだ・・・―――。