SoUnD~僕らの世界~
結局一睡もすることなく、いつも通りの時間に家を出てバス停に急ぐ俺。
背中にギター、カバンの中身はギッシリ、の状態で走るのはキツイ。
寝てねぇしな。
なんとかバスに間に合い、あの席に向かう。
「おはよう。ギターくん。」
「おはようございます、えっと・・・」
名前、知らねぇし、と思っていると「あぁ」と言われた。
「私たち、名前言ってなかったよね。私は栄口未那(サカエグチ ミナ)。みな、でいいよ。」
栄口、未那。
それがこの人の名前。
「俺は、加藤雅です。じゃぁ俺も、まさ、でいいです。」
今日初めて知ったお互いの名前。
これからどれだけお互いの名前を呼べるのだろう。
「重たかったでしょ。座って。」
俺はいつもと同じように、また未那の隣に座る。
いつもと変わらないって言うことがどれだけ嬉しいのか、最近の俺はよく実感する。
「雅くんかぁ。」
「くん、はいらないですよ。」
「じゃぁ、雅は敬語じゃなくていいよ?」
「あ、そうすか?」
「なんか距離あるみたいじゃない。だから普通に話してくれたらいいよ。」
距離、その言葉を聞いて俺は少し期待してしまった。