バイナリー・ハート 番外編


 確かにそれは管理責任者として問題がある。
 しかし——。


「オレと二人きりで一晩過ごすのはまずいんじゃないの?」
「どうして?」


 薄々感じてはいたが、フェティはランシュの事を昔と同じ小さな子どもだと思っているようだ。
 ランシュの内蔵センサが感知するフェティの生理反応から、不安や緊張は一切感じられない。

 きょとんと首を傾げるフェティに、ランシュは呆れたように言う。


「だって、フェティ恋人がいるんでしょ? たとえ何もなくても、男と二人きりで一晩過ごしたって知ったら、その人が気を悪くするよ」


 するとフェティはおもしろそうにクスクス笑い始めた。


「笑い事じゃないと思うけど」

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