青龍の鎮魂歌
ーーどん
「いってぇな!」
無気力になり過ぎて気づいていなかった。
私は思い切りガラの悪そうな人に体当たりしてしまっていたことに。
「オイコラ!待てよてめぇ!」
ぐっと掴まれた肩。
「痛っ…!」
思わず小さく悲鳴をあげた。
「痛ぇだあ?俺はもっと痛ぇんだよ!どう落とし前つけてくれんだよ?」
怖い…
どうしよう。
「ご、ごめんな…さい」
「言葉だけじゃ足りねーな。慰謝料のひとつくれぇ払ってもらわねーとよ」
「慰謝料なんて、そんなの…ありません」
「じゃあカラダで払ったら許してやるよ。オラ、行くぞ」
やっぱり。
この人は最初からカラダ目当てで絡んで来たんだ。
こんな男となんて、絶対嫌!
しかし男はお構いなしに私の肩を抱いて、繁華街方面に向かって行く。