あなたを抱けなかった理由
隣に彼がいる安心からか、私はずっと心の中に溜まっていた事を一気に社長に話すことができた。


それを全てしっかり聞いてくれた社長は「ごめんね、つらい思いをさせてしまって」と謝った。


そして、これからはしっかりメモに残して、マニュアルを作ろうとまで言ってくれた。



彼は隣で「よかったね」と言ってくれた。





その日をきっかけに、彼は私の会社によく顔を出すようになった。
 

社長もすっかり彼を気に入ってくれて、私たちはよく社長のお宅へ食事を招待されるようになった。



そして、社長の奥さんともすっかり顔なじみになり、まだ2歳の拓馬君も懐いてくれて、私と彼が憧れていた「温かい家庭」というものを束の間、経験することができた。
< 20 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop