あなたを抱けなかった理由
私の姿が見えないので心配したと、奥さんが私のところへ駆け寄ってきたとき、私がどんな顔をしていたのか自分でもわからない。


ただ、奥さんは私の顔を見るなり「ここにいてくれて良かった」と言って私を抱きしめた。



奥さんからは、甘いお菓子のような臭いがした。
あんなにつわりが酷かった私なのに、なぜだかその臭いに癒され、この胸の中に一生いたいと思った。







――それからの記憶はほとんどない
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