あなたを抱けなかった理由
それから、間もなく私は彼との家を引き払い社長宅にお世話になることになった。

私は外出を控え、部屋の中で過ごした。
それとは逆に、奥さんは積極的に大きくカモフラージュしたお腹で外出した。





日に日に大きくなるお腹を眺め、早く会いたいと思う反面、それが私たち二人の別離の日になるのだと思うと複雑な気持ちになったけど、不思議とそんな時にはピョコンとお腹を蹴って「早く生まれたいよ」と言っているようだった。
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