強気な女に裏あります。
「……僕?」


「そう、僕。頼れる相手って言ったらこいつしかいないだろ」



……確かに。
淳一が言ってる事は正しい。
頼れる相手は平泉君しかいない……。

だってあたしが臆病者って事を知ってるから。
弱いところを見せられるのは、平泉君だけ。
まともな人だしね?

七菜や淳一みたいにめんどくさがりじゃないし。



「……平泉君、お願い出来る?」



あたしがそう言うと、平泉君は爽やかな笑顔で『よろこんで』と言ってくれた。


こんないい人、あたし初めてかも!



「だよなー。お前の身内は意地悪だし」



あたしの心を読んだのか淳一は声を出しながらそう言ってコーヒーを飲んだ。

まっ、淳一は置いといて……。



「うん、負けよう」



左手をグッと拳を作って、負けるように心掛けた。



「それに今回の早坂さんは調子悪いみたいだしね」


「それ言わないでよ!」



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