雨夜の密会



鳴海さんが玄関まで一緒に来てくれた。



「あのさ、真緒ちゃん。雨の日にまた会おうね。一緒にご飯食べよ?」


「うん……」


「雨の日だけじゃなくて、猫たちに会いに来たかったら来ればいいし、写真館にも遊びにおいで?」


「うん……ありがとう……」



私は鳴海さんに精一杯の笑顔を見せた。


鳴海さんが抱っこしている白猫の冬の頭を撫でる。


目を細め、喉を鳴らす冬。


私と鳴海さんの逢瀬は数時間で終わった。


玄関を出ると、雨は上がり空には晴れ間が広がっていた。




< 110 / 139 >

この作品をシェア

pagetop