雨夜の密会




「真緒、鳴海くんはなぁ……」



叔父さんはそこまで言うと言葉を切った。



「私、知ってるよ?彼女が5年前に死んだことも、今でも彼女を愛してることも」


「真緒……」


「そんな過去がありながら、どうして私と……」



さっきからその繰り返しだ。


私には和臣さんがいる。


なのに何でこんなに虚しくなるの?


さっき、叔父さんに言ったように少しだけ期待してたから?


答えなんて自分でもよくわからなかった。



「叔父さんは、鳴海さんの彼女と会ったことあるの?」


「いや、ない」


「そうなんだ」


「鳴海くんと出会った時には、すでに彼女は亡くなってたからね」


「鳴海さんって、凄い写真家だったんでしょ?何で叔父さんのとこで働いてるの?」


「確かに鳴海くんは凄腕の写真家で、こんな小さな写真館で働いてるのが勿体無いくらいだよ」


「へぇ……」


「聞きたいか?」


「えっ?」



私はカウンターから顔を上げた。



「鳴海くんが、何でうちの写真館で働くようになったか。鳴海くんの過去を聞いて後悔しないなら教えてやるよ」


「教えて?」



鳴海さんの過去を……。




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