雨夜の密会
「鳴海くんから雨の日は真緒と一緒にいる約束をしたって聞いた時に昔を思い出しちゃったよ」
叔父さんはそう言って笑った。
「俺は、真緒と鳴海さんがどんな関係なのかは聞かないし、何も言えないけどな」
私は何も言わず叔父さんを見た。
「俺はてっきり真緒は鳴海くんのこと……」
叔父さんはそこで言葉を切った。
私は叔父さんがその後に何を言おうとしたのかわかり、胸がドキンと高鳴った。
「わ、私には和臣さんがいるし……」
「そうだな」
叔父さんはそう言ってクスッと笑った。
「鳴海さんは、何で雨の日に私と一緒にいてくれるって言ったんだろう……」
私は遠くを見つめながら呟くように独り言のようにそう言った。
「叔父さん?」
「ん?」
「私ね、和臣さんがいるのに、既婚者なのに、鳴海さんに雨の日に一緒にいてあげるって言われて、実は少しだけ期待したんだ……」
「うん」
「でもね……。ねぇ、叔父さん?」
「ん?」
「鳴海さんに彼女いたの知ってる?」
叔父さんはカメラを磨いていた手を止めた。
「私、見ちゃったんだ……写真を……」
「真緒……」
叔父さんは少しだけ悲しい目で私を見た。
叔父さんは知ってるんだ。
鳴海さんと彼女のことを。
「鳴海さんは彼女がいるのに、何で私と一緒にいてくれるんだろうね。私が雨の日は嫌いで寂しいって言ってたから、一緒にいることで少しでも寂しさが紛れたらと思ったからって言ってたけどね……」
わけわからなくて頭の中がグチャグチャだよ……。
私はカウンターに上半身を倒した。