雨夜の密会
「帰りました〜!」
そう言って入って来たのは鳴海さん。
私の姿を見つけると、鳴海さんも叔父さんと同じようにビックリした顔をしている。
「真緒ちゃん、来たんだ」
そう言って笑顔になる鳴海さん。
「はい、近くまで来たので」
「そかそか」
鳴海さんはそう言って、首からぶら下げていた一眼レフカメラをカウンターに置いた。
「あっ!そうだ、真緒ちゃんにいいものあげるよ」
鳴海さんはそう言って、パーカーのポケットに手を入れて、中から長方形の紙を2枚差し出してきた。
「これ、何ですか?」
「新しく出来た水族館のチケット。もらったんだけど、俺一緒に行く人いないしさ。真緒ちゃん、旦那さんと一緒に行って来なよ。明日、土曜日だし」
「えっ?でも……」
和臣さんの顔が頭に浮かぶ。
結婚してから2人で出掛けたことなんてない。
私から誘って、果たして一緒に行ってくれるのか……。