雨夜の密会
今日は珍しく晩ご飯前に帰って来た和臣さん。
今、私の向かい側に座り、私が作った晩ご飯を食べている。
美味しいとも不味いとも言わず黙々と。
当然、会話はない。
チラチラと和臣さんを見ながら晩ご飯を食べ、あと少しで食べ終わるところで。
「和臣さん?」
声をかけた。
「ん?」
そう返事をしてチラッと私を見る和臣さん。
「あのね、知り合いから水族館のチケットをもらったの。明日、良かったら……」
「明日は取引先の人たちとゴルフだから」
私の話を遮るように和臣さんがそう言ってきた。
「そうなんだね。何時に家を出るの?」
会話を繋ぎたい。
そう思って、笑顔でそう言ったけど……。
「何時に家を出ようがキミには関係ないことだろ?明日、早いから風呂入ったら寝る。水族館に行きたかったら勝手に行けばいい」
和臣さんはそう言って、箸を置いた。
“ごちそうさま”も言わず、席を立つとリビングを出て行ってしまった。