雨夜の密会
「こんにちは」
昼過ぎ。
私は叔父さんの写真館へ顔を出した。
叔父さんと鳴海さんが楽しそうに話をしている。
「真緒!」
「真緒ちゃん、どうしたの?」
私に気付いた叔父さんと鳴海さんは驚いた顔をしてる。
和臣さんと水族館に行ってるはずが、ここに来てるんだもん。
しかも1人で。
驚くよね。
私は写真館の中に入って、鳴海さんの側に行った。
椅子に座ってる鳴海さんの前に立つ。
「鳴海さん……」
「ん?」
鳴海さんは顔を上げて、優しい笑顔で私を見上げる。
「これ……」
私はカバンからチケットを出して鳴海さんに差し出した。
「真緒ちゃん?」
チケットを見た鳴海さんの顔から笑顔が消える。
「和臣さん、今日は取引先の人たちとゴルフ行っちゃって。だから水族館に行けなくなっちゃった。だから……」
精一杯の笑顔を作って鳴海さんにそう言った。