雨夜の密会
「エリートサラリーマンも大変だなぁ」
叔父さんがそう言って笑う。
「本当に」
私もそう言って笑う。
鳴海さんが椅子から立ち上がった。
「涼さん、車のキー貸して?」
「えっ?あ、うん。別にいいけど」
叔父さんはキーケースを鳴海さんに渡した。
「今日の◯◯の結婚式の仕事、19時からだったよね?」
「あ、あぁ」
「真緒ちゃん、行こう?」
鳴海さんが私にそう言って笑顔を見せ、大きなリュックを背負った。
「えっ?」
「水族館。行こう?」
「でも……」
鳴海さんが私の手をギュッと握った。
“ビクン”と肩が揺れる。
「真緒ちゃんと水族館に行って来る」
「えっ?鳴海くん?ちょ……」
「19時の仕事には間に合うように帰って来るから」
鳴海さんは叔父さんにそう言って、私の手を握ったまま写真館の外へ出た。