雨夜の密会



私、佐伯真緒(サエキ マオ)は、23の時にお見合い結婚した。


大学の時に就活に失敗。


卒業後は叔父の経営する小さな写真館で受付のアルバイトをしていた。


叔父から1枚の写真を見せられ、お見合いを勧められた。


写真館のお客さんの息子さんで、お母様から頼まれたみたいで。



「会うだけ会ってみて、嫌なら断ればいい」



叔父のそんな言葉を信じてお見合いを承諾した。


お見合い相手の佐伯和臣(サエキ カズオミ)さんの第一印象は冷たそうな人。


小中高大と超難関校を卒業して、大手企業に勤めるエリートサラリーマン。


少し長めの前髪から覗く切れ長の目が印象的で、メガネをかけて背も高い。


スーツをビシッと着こなし、どちらかと言えばイケメン。


黙っていても女性が寄ってきそうな感じだけど、31まで独身でお見合いをしてるのが不思議に思うくらいだった。


乗り気ではなかったお見合い。


叔父の顔を立てるためにしたお見合い。


断ろうと思っていた。




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