雨夜の密会
家に帰り、リビングに入ると和臣さんがソファに座っていた。
「和臣さん?ご飯は?」
「食べてきた」
そこで会話が止まり続かない。
「あのね……」
今日の事を正直に話そうと思った。
「シャワー浴びてくる」
和臣さんはそう言って、ソファから立ち上がると私の方を見ないでリビングを出て行ってしまった。
「はぁ……」
口から溜息が漏れる。
ダイニングテーブルの椅子に座った。
♩〜♩〜♩〜
スマホのLINEの受信音が鳴った。
カバンからスマホを取り出す。
鳴海さんからだ。
『真緒ちゃん、ゴメンね。俺が送って行くって言ったせいで……。ゴメン』
『鳴海さんのせいじゃないので気にしないで下さい』
私はそう書いて送信した。
鳴海さんのせいじゃないよ。
♩〜♩〜♩〜
『そう言ってもらえて嬉しいよ。少しでも真緒ちゃんが元気になれたら……』
そんなメッセージと一緒にマンボウの写真が添付されてきた。
『マンボウの顔見たら元気になったよ。ありがとう』
♩〜♩〜♩〜
『良かった』
私は鳴海さんが送って来てくれたマンボウの写真をスマホの待ち受け画面に設定した。
カバンの中にある水族館の名前の入った可愛い紙袋。
それを取り出して、スマホにストラップをつけた。