雨夜の密会
「和臣さん?朝ご飯、出来たけど……」
自室から出て来ない和臣さんに朝ご飯が出来た事を知らせるため、私は和臣さんの自室のドアの前に立っていた。
結婚して1度も入った事ない和臣さんの部屋。
中からは何の反応もない。
もしかして寝てるのかな?
「あの、和臣さ……」
“ガチャ”
部屋のドアが開く音がした。
目の前に立ってる和臣さん。
見上げると、切れ長の目で私を見下ろしていて何も言わない。
氷のように冷たい目。
心臓が“ドクン、ドクン”と激しく鳴り続ける。
「あの、朝ご飯……」
「いらない」
「でも……」
怖くて目が合わせられない。
あっ……。
和臣さんの着ている長袖シャツ。
そこにホコリがついてるのが目に入った。