雨夜の密会
…………あれ?
雨は降ってるのに、私のとこだけ降ってない。
何で?
ゆっくりと顔を上げていく。
「…………あ、鳴海さん」
「風邪ひくよ?」
私の上に傘を差して、そう言って柔らかい笑顔を見せる鳴海さん。
何で……。
何で鳴海さんが……。
鳴海さんは傘を差したまま私の隣にしゃがんできた。
そして、私の腕の中にいる仔猫の喉を撫でる。
「この子たちが気になって……」
「えっ?」
鳴海さんの傘を持ってない方の手には、タオルが敷き詰められた段ボールがあった。
鳴海さんはそれを母猫の近くに置く。
私は仔猫をその段ボールの中に静かに置いた。
鳴海さんは他の仔猫も段ボールに入れていく。
母猫も横になっていた体を起こし、段ボールの中に入った。
「少し小さかったかな」
鳴海さんはそう言ってクスッと笑う。
段ボールの中で固まっている4匹の猫。
「あっち、行かない?」
「うん……」
私と鳴海さんは立ち上がり、草むらを出て、公園内の屋根のあるベンチに行った。