雨夜の密会



着替えた鳴海さんは荷物を持って部屋に入って来た。



「暴れるから腕が傷だらけになっちゃったよ」



半袖のTシャツから覗く鳴海さんの腕には細かい傷がいくつも付いていた。



「痛くない?」


「あぁ、大丈夫だよ。これくらい」



鳴海さんはそう言って笑うと、猫のご飯用の器を袋から出してキッチンに持って行った。



「これも買って来たんだ」



次に袋から出したのはフワフワの猫用のベッド。


それをリビングの窓側に置くと、仔猫が次々に入って行く。


相変わらずリビングの前にいる母猫を鳴海さんが抱き上げて、ベッドに連れて行った。



「名前、決めた?」



ベッドの側に座り、母猫の体を撫でていた鳴海さんにそう聞いてみた。



「名前かぁ……うーん……」



まだ決めてなかったんだ。



「ちょうど4匹いるから、春夏秋冬でいいや」


「えー!そんなに簡単に決めていいの?」


「うん。母猫が春、茶トラが夏、鯖トラが秋、白が冬」



春夏秋冬かぁ。


適当につけた割には、模様と名前が合ってるかも……。





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