雨夜の密会




「こんにちは」



俺は男の子に声をかけた。


男の子は恥ずかしそうに真白さんの後ろに隠れる。



「しょうくん?お兄ちゃんに、こんにちはは?」


「こんにちは」



しょうくんと言われた男の子は照れたように俺にそう言ってきた。



「翔真(ショウマ)って言うの。この子の名前」


「そうなんですね」


「ねぇ、蓮くん?」


「はい」


「葵が亡くなって5年間、毎月、ここに来てお花を供えてくれてたでしょ?」



俺はこの5年間、月命日、命日と欠かさずここに来て花を供え、葵と話して帰っていた。


真白さんはそれを知っていたんだ。





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