雨夜の密会




「でもね、蓮くん……」


「わかってますよ」



葵はもうこの世にいない。


俺の前にいて、一緒にいられるわけじゃないって。



「だったら……」


「でもダメなんですよ。俺、葵じゃないとダメなんですよ……」


「蓮くん……」


「すみません……」


「葵は幸せね。亡くなったあとも想われて、愛されて……」



真白さんはそう言って、少し声を震わせながら墓石を優しく撫でていた。




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