雨夜の密会




「いつまでも葵のことを想ってくれてる気持ちは嬉しいの」



だったら……。



「でもね、蓮くんにも幸せにならなきゃね」


「えっ?」


「いつまでも亡くなった彼女を想い続けるんじゃなくて、早く良い人を見つけなきゃね」


「真白さん」


「ん?」


「俺は葵を失ってから、二度と人を愛さないって決めたんです」


「えっ?何で……」



今度は真白さんが目を見開き俺を見ていた。



「何でって、葵を愛しているからですよ」



俺はそう言ってニッコリ微笑んだ。


そう、俺は葵を失ってから、2度と人を愛さないと決めたんだ。


もし誰かを愛しても、また失うのが怖いから。


それに俺はいまだに葵を愛しているから。




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