Snow Drop Trigger
シンプルなデザインを好む康介のプレゼントを早速左手首に通す。

照明の光に照らされながら、どれも個別の輝きを主張していて着け心地も割としっくり来た。


「次は、……悠太のか」


康介に貰ったプレゼントの包装を綺麗に畳んでリュックの中に入れ、次に小さな小箱を取り出した。

立方体のその黒い小箱には、青の細長いリボンが貼り付けられていた。

磁石が開け口の内装に取り付けられているタイプのようで、 開けてみると箱より一回り小さな小瓶が入っていた。

だとすると、この小瓶に入っているのは香水だろう。


「悠太らしいな……」


透明に青が帯びたような色味の小瓶は、誤って噴射しないように噴射口に蓋がついていた。

表現力が乏しい俺が説明しても分かりにくいだろうから簡単に言うと、普通の香水瓶と構造は同じである。

噴射口に指を乗せ右手首に一回噴射すると、爽やかな香りが鼻に届いた。

爽やかな香りはゆっくりと甘い香りになるが、媚びた甘さではなく俺の好みの香りだ。

右手首を左手首に擦り付けながら香水を伸ばし、俺は悠太に貰った香水を箱に戻した。


「これは、桃瀬からだな……」


悠太に貰った香水の箱をリュックに戻した俺が次に手に取ったものは、紹介した二人のプレゼントより若干大きめの桃色の袋だった。

包装紙にドットのリボンが巻き付けられているもので、リボンの結び目の横辺りに小さく『pinky corporaition』と書いている。

ちなみに名前から察することが出来るだろうが、桃瀬は『pinky corporaition』の社長の娘である。
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