Realtime:kiss
私はきっと忙しいからと、電話もメールも控えていたから、何にも知らなかった。



「で!問題なのは内の課の秘書連中よ」


そう言えば、去年入った社員の中に一際目立つ集団が居たっけ……


「まだ一年目だから役付の秘書は任せられないから、先輩秘書の雑用係なんだけどね?
時間が余り過ぎんのよ。
だから違う所に目がいくんだよね」


陽子は、秘書課の人数が多すぎると愚痴を言う。


一人前に仕事をこなしてから色恋に惚けろと…


「聞いてよぉ、奈緒ぉ!
あんたも人事じゃないんだからね。
月曜日、講堂に全従業員が集められて、統合の主旨を社長が述べたのよ。

その後、支社から合流した営業一課の紹介を専務がされたんだけど、もう、誰も専務の話なんか聞いてやしない。

特に秘書課の三馬鹿トリオ!
きゃあきゃあ騒いじゃって、もうホントむかつくわ」


「で、極めつけが今日…課で騒いでると思ったら、いつの間にか居なくなってて……」


陽子が言葉を切って奈津紀を見る。





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