Realtime:kiss
思いっきり、拒否った。多分こんな事は今回が初めてだったかも…


それでも男の人の力にはかなわない。

強引に抱き締めれてしまった。

「…俺はただ、病院の飯、そんなに旨くはねぇだろ?
だから、旨いもん、食わせてやりたかっただけなんだ、体がしんどいなら、そう言ってくれよ…」


私の肩に顔をうずめて消え入りそうな声でボソボソと呟く蒼佑…


こんな蒼佑を私は初めてかもしれない。



「そっ、そうすけくん…
あたしはただ、家に帰りたいだけで……
美味しいかどうか分からないけど、食事ならうちで……」


と、そう言った直後だった。

「じゃあさぁ、着替えもあの中に入ってる事だし、お前んちじゃなくて、俺んちでゆっくりすりゃあいいんじゃねえ?」

後部座席の鞄を顎で指し、そんな事を笑顔で言ってのけた……


はっ忘れていた……

この男はこういう男だったんだ……



ニヤリと右の口角をあげるこの男……


やっぱりムカつく!


「もおぉお!やだあああぁぁあ」



車の中で私は絶叫した……



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