Realtime:kiss
「だから、そうじゃなくて」


「……だって、ホントの事じゃん」


目の前のこの男性は一体何を言っているのだろうか…


「…ふぅ、んじゃ、昼飯の準備でもすっかな。お前はここで、ゆっくりしてろ?
晩飯は頼むからな」



すくっと立ち上がりワイシャツの袖口をめくり上げながらキッチンに行ってしまった蒼佑。


答えになってない。


ホントの事って、何?



こんなもやもやしたまま、この部屋には居たくない。


私は蒼佑の後を追ってキッチンに行く。


「ホントの事って?」


背後から蒼佑に声をかける。


「ん?だから、ホントの事」


同じ答えしか返ってこない。


質問を変え、また蒼佑に問いかけた。


「いつから付き合ってたっけ…」


すると、鍋をガスコンロに乗せて火を付けようとした蒼佑の手が止まる。


「は?お前、頭打っておかしくなった?」


「おかしくなってないし…おかしいのは、蒼佑君の方じゃないの?」



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