W-アイ ~君が一番に見たいもの~ 【完】
俺は振り返った。
そして、今出たばかりの病室のドアが、静かに再び閉まるのを見届けると――
――まじかよ、オッサン……。
その時、トクンと波打ち弾けたそれが、ゆっくりと、胸の奥に溶けて行った。
「どうしたの?忘れ物?」
「………、いや、なんでもない」
そして。
少しの間、物音さえ消し去られていた病院の廊下は、いつものようにまた雑音に包まれ、機械音が静かに響きはじめていた。