センチメンタル*ガール



「お待たせしました。カフェオレになります」



とあたしの目の前にコーヒーカップを置いてくれたチーフ。



チーフを見てみるとなんだか今日あったことを見透かされているような



……そんな気がした。



「……ありがとうございます。あの、飲み終わったらすぐに帰るので」



とまた無駄に笑顔を浮かべながら話すあたし。



ちゃんと笑えているといいんだけど……



鏡がないと自分の顔は見えないからな。



「いいわよ、ゆっくりしていって。



内容はよく分からないけど何かそんな顔をする理由があったんでしょ?



これはサービスだからみんなには内緒ね。ではごゆっくりどうぞ」



とチョコチップクッキーののった皿をカフェオレの隣に置くと



チーフはまた他のお客さんのオーダーを取りに行った。



気を遣わせちゃってごめんなさいと心の中で謝ると



カランカランと音が鳴ってまたドアを開けて



新しいお客さんが入ってきて……



その人は……






さっき佑輔といたはずの女の人だった。


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