短編集~甘い恋~

「こいつのこと泣かせていいのは、俺だけなんだよ」

なに、俺様みたなこと言ってんのよ…。

「はぁ?お前、真鍋のなんなわけ?あ、彼氏?
お前さ、こいつの正体知ってんのかよ?こいつ、中学時代――「優奈の中学時代なんて、知ってる」

渋谷と名乗った男子の言葉を遮り、歩は言い放った。

周りは、水を打ったように静かになる。

「だからって、なんなわけ?お前は、周りに優奈の事言って、なにしたいんだ」

「っるせぇ!かっこつけてんじゃねぇよ!!
俺はなぁ、コイツに負けてんだ!合同練習のトキになっ!」

その言葉で、記憶がよみがえる。

「S中の…渋谷…くん?」

「ハッ、やっと思い出したのかよ」

あたしはこの人を…中学時代、一瞬で仕留めた。



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