ALiCe
もうひとりの彼はさっきの彼の腕を掴んでいた。
ややこしい…。
「え、兄さん。なんでとめるの」
さっきの彼…もう奴でいいか。奴は不思議そうに言った。
要するに彼は奴の兄、なのか。恐らく双子の。
「今回のアリスはいつもとは違うらしい」
「いつもと違う?なにが?この子特におかしなところなくね?」
「こいつ自身じゃなくてアリスがもう1人いるんだと」
その言葉に奴はぽかんとする。
さっきそれを言えばよかったのか。
でも奴は私の話なんて聞こうともしなかったし、どちらにせよ彼には助けられた。