風紀委員長の取扱い説明書
「お疲れ様です。」
新委員との対面式から1週間が経ち、新入生歓迎会が近づいてきた。
書類に目を通していた麗は机に缶コーヒーを置かれ、置いた相手を見上げた。
「ああ、ありがとう。」
「眉間に皺が寄ってますよ。皺になったらますます老け顔に見えます。」
………そんなに老け顔だっただろうか。
思わず眉間に手をやると、副委員長に就任したばかりの静馬は呆れたように息をついた。
「無意識なんでしょうけど、あなたは常に仏頂面ですからね。何がそんなに気に入らないんです?」
「………別に、そういうわけじゃ…。」
「まあ、確かにこんなに仕事が溜まれば嫌になるのも分かりますけどね。」
静馬は大量の書類に手を伸ばす。