風紀委員長の取扱い説明書
「生徒会も忙しそうですよね。」
「この時期は特に、な。秋は更に酷いぞ。」
コーヒーを口に運び、その苦味に顔をしかめる。
「無糖はまだ早かったようですね。」
馬鹿にされているような気がして、麗は何とかコーヒーを飲み干した。
「飲めなくはない。」
「次は苺牛乳にしておきます。」
「………さっさと仕事しろ。」
好物だなんて、口が裂けても言えない。
くすくすと笑う静馬だが、帰り際に何枚か書類を持っていた所を見ると、やはりどうしても憎めない。
気が利く上に、仕事も出来る。
あの態度が気にくわないが、副委員長として十二分な存在だった。