冬が、きた。
そして、とうとう、コンサートは終わってしまった。
…………どうしよう。
ロビーコール……。
慎くん、いるよね、絶対。
私は、急に怖じ気づいてしまって、なかなか客席から立ち上がれなかった。
ホールからは、どんどんお客さんが出ていく。
……ずっと残っているわけにはいかない。
私は近くにいた女の子のグループに紛れて、会場から出る作戦を考えつき、席から立ち上がった。
その瞬間、慎くんがホールに入ってきたのが見えた。
…………ええっ!?
思わずその場にしゃがみこんだ。
なな、なんでなんで……!?
……こ、心の準備が……。
心臓をドキドキさせながら床を見つめていると、視界に、革靴が入ってきた。
「………雪音」
ゆっくりと顔を上げると、しょっぱい表情を浮かべた慎くんが、私を見下ろしていた。
ばっちりと目が合う。
「………なにしてるの?」
「……あの、ちょっと……」
どういう顔をすれば良いのか分からなくて、思わず目をそらした。
すると、慎くんも私の前にしゃがみこんできた。